毎月の給与で「処遇改善加算等手当」を支払いしている場合は、割増賃金の基礎となるべき賃金に加えなければならない!(2022/7/4)
労働基準法第37条第5項によると、割増賃金の基礎となるべき賃金から除外することができる手当は限定列挙されている。
いわゆる「か・つ・べ・し・じゅう・り・1」である。
➀家族手当 ②通勤手当 ③別居手当 ④子女教育手当 ⑤住宅手当 ⑥臨時に支払われる賃金 ⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金以上から、「処遇改善加算等手当」は当然に除外できる手当ではない。
つまり、「処遇改善加算等手当」を含めて割増賃金を計算しないといけないということだ。
このことは、令和3年1月22日松山地判でも示されている。
医療法人社団竹林院事件の判断は、処遇改善加算等手当は、割増賃金の基礎となるべき賃金に加えなければならない、というものである。
しかしながら、実務において、処遇改善加算等手当を割増賃金の基礎となるべき賃金に加えている事業所は少ない。
当然ながら、割増賃金の基礎となるべき賃金に加えると、事業所にかかる負担は大きくなり賞与等で支払う方向に変更せざるを得ない事業所が増えることは想像に難くない。
そうなると、処遇改善加算等の本来の趣旨から外れることになりかねない為、非常に悩ましい。